『無学で、おそらく学問など軽蔑している商人が、
企業心と勤勉さによって、かねて念願の余暇と独立を手に入れ、金持ち仲間や上流社会への出入りを許されるようになると、
知性と天才からなる、より高く近寄りがたい社会に否応なく目を向けるようになり、
自分の教養の不完全さや、富のむなしさ、不十分さをはっきりと感じ取り、
今度は、自分に欠けていることを思い知った知的教養を、
せめて自分の子供たちには保証してやろうと骨折ることによって、
さらに見識あるところを見せようとする。
こうして彼は、一族の創始者となるのである。』